ハングル能力検定協会より、問題文を載せるなとクレームがきたので、その部分を削除しました。
[3級・聞き取り試験の解説・講評]
―前回との比較―
<難易度>やや易化。
<問題語数>ほぼ同数。
<問題内容>前回と変わらず。
第1問は、提示された表や絵を説明している文を選ぶ問題です。
まず1)は、いつものグラフと違う形で出題されました。
なかなかしゃれた問題ですね。
도라산[都羅山]駅は、南北軍事境界線の、韓国側すぐ手前にあり、駅には実際にこのような距離表示がされているそうですが、問われ方は同じで、数値それぞれと、それらの比較正誤を問うてきます。
一方で、今回の問題なら例えば、平壌からソウルまでの全区間距離を計算させて、その合計を聞き取らせるといったのは、出題者からするとためらわれそうです。
今回、惜しくも3級不合格で(講師もかつて1度落ちました)再挑戦を予定している方は、このような出題のされ方もするんだなと、参考にしておきましょう。
やはり、過去問という、広く公開されている物は確認したいです。
余談で、今は南北関係が冷え切っているのもあり、休止状態だそうですが、一旦正式に運用が始まれば、鉄路が一気にヨーロッパまでつながり、莫大な経済効果が期待されてもいるんです。
次の2)で、聞き取るべき句は「大根を抜く」とある程度予想できます。
「抜く」を意味する 뽑다 が3級の語彙だからです。
前回に比べて易化しました。
聞き取るべきことがよりはっきりしています。
続いて第2問は、説明している単語を聞き取る問題です。
問題文が正答語を説明する文なので、問題文は自然と平易になり、これを聞き取れることが、正解への条件です。
問題文の文型はほぼ決まっています。
<1> [名詞句]을/를 말합니다.
<2> 指示語を含んだ文
아/어서 や 고 といった、文脈を示す接続語尾は聞こえてこないのが通例です。
文法的には、名詞の修飾部分を聞き取りなさいという問題です。
1)の正答語 예매[予買]などは、3級らしい語だなと思えます。
つまり、ハン検では3級から、
〔自分が実際に使う確率が少ない語〕
が出てくるということです。
4級と3級との間で、世界が変わる理由の一つです。
語自体はあくまで日常語でも、そんな性格があると、ただ覚えることに終始してしまいそうです。
講師の場合を思い出してみると、예매 を使ったことは、正直ありません。
これを知らなくても、韓国語会話は今まで通り成立していたでしょう。
それでも、あらゆるところで見たので、覚えてしまいました。
1)に対して2)の 공짜 は、その意味から実際にも使う機会があります。
問題文の聞き取りも、같은 뜻 がポイントに挙がる程度で、平易です。
最後6)も、대책[対策]を今のうちから聞き取れるようにしましょう。
ハン検に限っても、この先準2級以降、1級に至るまで、問題文中に出てきます。
ところで、自分でできる練習法として、これを口頭でやってみるのがいいです。
単語を文に言い換えるんですね。
当校ではハン検を受ける受けないを問わず、実際に練習しています。
言い換える程度は、今回の問題文のように、連体形を含んだ名詞句でOKです。
接続表現を含んだ複文に言い換えれば最高ですね。
では第3問の応答文を答える問題で、会話の基本は‘問答’であることに立ち返ります。
もちろん、絶対にそうではありませんけどね。
そして、たとえ1往復という単純な会話でも、
筆記問題より、このリスニングをできるようにしたいです。
協会が、筆記問題での会話文を出題する理由を述べてはいて、
今はSNSを中心に、文字でやり取りすることもありますが、会話とは結局、
『口頭でのやり取りで理解する』
のが基本だからです。
ハン検3級ともなれば、会話できる範囲がかなり広がっているので、これを念頭に置きたいです。
では1)で、問題文のように、これ一つで完結してしまっている文句に対する応答文を選ぶのは、よくよく考えると、問答よりも文脈の制限が少なく、どうでも答えたりするので、難しく感じます。
それでも例えばこのように、話者が感嘆した時の返答として、文脈的に考えてあり得る発話の種類を押さえておく、という対策学習が有効です。
正答/不正答の差は明らかですが、多少聞き取れない語句があっても、その、
〔文脈的にあり得る発話〕
が分かりさえすれば答えられる、実用ならば応答できるという韓国語力(語学力)も、身に付けておきたいですね。
ところで3)が面白くて、問題文の 임금 に対して、③で 왕 が聞こえてきて笑っちゃいました。
3級を受験されている時点で、これらが結び付けられるのは、時代劇好きの方でしょうか。
これらこそ、先の、
〔自分が実際に使う確率が少ない語〕
ですが、時代劇を見る方にとっては知っておきたいです。
왕[王]に対しての 임금 は「君主」「役人」です。
今回は、語句が聞き取れさえすれば、文脈などは気にせず解けるという、ある意味分かりやすい出題です。
こういうのは、講師が知る限り、例えば英検のリスニングでもそうです。
英検での出題も、不正答選択肢は、問題文の会話あるいは文章と全く無関係なことで、正解できなかったら、それは問題文を聞き取れなかったからだけなので、聞き取れるように練習しよう!というわけです。
続いて第4問は文章/会話文問題(選択肢は日本語)で、5級,4級にもある形式ですね。
事前の選択肢チェックをやっておきましょう。
1)は、語学でよく議論されることですね。
講師個人の考えでは、日本語ネイティブにとっての韓国語が、文法は日本語と酷似しているので、基本的に学ばなくてもよく、ただ、それが日本語より厳密な点に注意すること(欧米諸語や中国語ほどではなくても)と、大切なのは、日本語と事情が違う発音(子音中心の音で、語と語の間で音が交じり合う など)を、繰り返し練習しておくこととしているので、会話で文法を問い質すなら、それは例えば英会話や中国語会話やんな、と思っています。
それはさておき、今回の問題文は、ふたを開けると、文構造で解けるんですね。
正答根拠は最終文ですが、たった3文にもきれいな文構造が出来上がっています。
ハン検でこの点を問い質しているのは珍しいです。
この問題文の文構造をぜひ解き明かしておきましょう。
そうしておく利点は、以下の通りです。
・多少聞き取れない語句があっても正答根拠箇所を特定できる
・誰でも同じ解釈ができる(=ヘンな誤解を生まない)
順を追った 말하기 と 듣기 ができる
・TOPIK対策もできる
そしてこれは、続く2)でもそのように作られています。
なんなんでしょうかこれは。
ここまで理路整然とした問題文を作り、正答を設けてきたというのは記憶が無いです。
講師が気付いていないだけで、過去問を再度精査してみたいですが、そんな協会の意図(?)はさておき、受験者としては、解答で大いに活用しましょう。
余談で、2)の①は、キムチについて一般的に知られていることから、
これは不正答とすることもできはしますね。もちろん、思い込みは危険ですが。
そして3),4)では、5級,4級と同じく、
男性は~~ → 男性の発話を注意して聞き、選択肢を取捨する
女性は~~ → 女性の発話を注意して聞き、選択肢を取捨する
(それぞれで、選択肢の内容を言ったか言わなかったか)
を、問題文が聞こえてくる前に見定めて、ピンポイントに聞けるよう準備しておくんですね。
他の主語名詞や、今回は無いものの、選択肢には「二人は~」もありますが、基本的には、上記の要領で解答できて、5級,4級と違うのは、時に相手のことを代弁している場合があります。
それに注意して聞くと、
3)
女性1つめの発話 → ②○(「冷たいビールください」=飲みたかった)
ここは出題者が結局、②「冷たい」と 시원하다 を結び付けなさいといっているだけです。
4)
女性1つめの発話 → ①×,④×(週末は仕事をしている)
女性2つめの発話 → ②×,③〇(休みの日は一人で過ごすしかない)
この発話でこれを検討し、次の発話でこれと、流れ作業で聴解しましょう。
出題形式が分かっているので、繰り返し練習しておけば十分できます。
これはもちろん、この後の第5問も同じです。
余談で、女性1つ目の発話で、いわゆる「週末も仕事です」を、韓国語では普通こういうのを確認しましょう。
よく、日本語直訳で、
주말에도 일이에요.
とする方が結構おられます。
これはおそらく、先に出てきた、
〔日本語ネイティブにとっての韓国語は文法が日本語と酷似していて、基本的に学ばなくてもいい〕
のが影響していて、文法を問い質さずに、日本語をそのまんま韓国語(らしいもの)にしているから、と考えられます。
これがもし英会話なら、
‘「週末も仕事」だからって、Today is work too.ではないよね’
と、普通に気付けるはずです。英語が日本語とは文法が違うとよく知られているからです。
もちろん、例えば車の後部によく付いている、
BABY IN CAR
のような、わけの分からない英語(らしいもの)が流通している例もありはしますが、
を常に念頭に置き、‘韓国語らしい韓国語’を使えるようにしましょう。
では、最後の第5問・文章/会話文問題(選択肢は韓国語)です。
ここでも、事前の選択肢チェックがうまくできたかを確認しましょう。
選択肢チェックの具体的な仕方、そして場所も確認しておきたいですね。
事前の選択肢チェックさえできていれば、メモは必要ありません。
そして、各選択肢も全部訳しておく必要はありません。
部分部分でOKです。右側の余白に、見やすく書いておきましょう。
では1)で、①③④に 식물{発音は싱물} とあります。
余裕があれば、それらの周りも見ておきますが、どうやら植物についての文のようです。
ところでもし、問題文が流れる前に、各選択肢を全て読めると、①と②が不正答とすぐ分かることを見逃せません。
もちろん、特別な語句知識は不要です。
事実上2択問題です。その上で問題文を聞くと、
第3文 → ④〇
正答根拠と④が言い換えられています(否定→肯定)。
それにしても正直なところ、選択肢の作りにもう少し工夫がほしいです。
先の通り、①と②がすぐ不正答と分かってしまうし、その②と、そして④が意味的に単純な反対内容です。
これはもしかすると、出題者は、不正答選択肢の存在理由を重要としておらず、それはつまり、聞こえてきた内容と、4つの選択肢と均等に対照して取捨させるのではなく、とにかく、聞こえてきたことに合うものを選んでくださいという、出題方針に変えてきたのかもしれません。
それならそれで、選択肢に工夫が無くてもよいです。
ところでこの問題も、第4問1)2)のような問題文の作りと正答根拠箇所の設け方なんですよね。
講師の気のせいでしょうか、TOPIKの影響を受けている気がします。
TOPIKは、問題の作り方がずっと一貫していますからね。
それはもう、大げさでも何でもなく、芸術の域に達しています。
続く2)の選択肢取捨経過を振り返ります。
第2文 → ②〇(「私達が結婚できるよう手を差し伸べてくださった、~~」)
正答根拠の出方が平易であるのはさておき、この手の内容を普通に聞き取れるようにするのが、この3級レベルでの目標といえます。
文の語数、一文の語句的文法的レベルが、今の段階にピッタリです。
残り2つ、3)4)の会話文問題は、先の第4問3),4)と同じように、女性,男性それぞれの発話と選択肢を対照させます。
3)
男性2つめの発話 → ④✖(女性がチーム長に早く謝罪すべき)
女性2つめの発話 → ③〇
実際は、女性2つ目の発話で②を不正答とできますね。
実際は、このように聴解すると正答が出るし、もしこのパターンで正答が出なかったら、2回目の朗読であらためて選び直しましょう。
4)
女性1つめの発話 → ①✖(通訳になりたい)
女性2つめの発話 → ④〇(私は通訳をうまくやれると思っています)
先の問題と違い、②は‘受験者を惑わせる’という意味で存在理由があります。
問題文を聞けば、このことについて触れていませんが、問題文を聞く前にこういうのを見ると、この点にも注意して聞かないと、と思わせる意味で惑わせているんですね。
ところで、推しがいる皆さまがイベントに行って、もしこんなのを見るとイヤになるものですか?
ということで、3級・聞き取り試験が終わりました。
対策学習としては、これまでの4級以上に、試験問題リスニング練習の柱である、
1)全てを聞き取るリスニング練習(音読・シャドーイング・ディクテーション)
2)試験問題解答のリスニング練習(正解するために狙いを定めた聴解)
3)問題用紙記載の選択肢活用法(聞き取りと筆記では選択肢の見方が全然違う)
この3本立てでやっていきましょう。
これらの中で、(2)を実現するために、聞き取り試験の音声が流れ始めたら、最初の全体説明(54秒)、さらには各問の説明(平均約30秒)の間に、選択肢を最後まで見ておかなければなりません。
問題形式を知っていれば、問いの説明などは、注意して聞く必要が無いので、各問の選択肢を、最初の全体説明と、各問の説明の間に、全て選択肢をチェックしておく練習を、次回試験までに繰り返しておきましょう。
一方で、問題から離れて、音声全てを聴解できることも頑張りたいですね。
自由自在の韓国語会話のためにも、その土台を作ってくれる3級です。
ハングル検定対策各通信添削講座(3級,準2級,2級,1級)
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3級 全7回:24,000円(税込)
準2級,2級 全8回:32,000円(税込)
1級: 全8回:40,000円(税込)
ハングル検定2級語彙力強化講座
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