ハングル能力検定協会より、問題文を載せるなとクレームがきたので、
その部分を削除しました。



[3級・筆記試験の解説・講評]


―前回との比較―

 

<難易度>前回並み。

 

<問題語数>前回と同じ程度。

 

<問題内容>前回と変わらず。

 


여러분,안녕하십니까?

 

第1問の音声問題で採り上げられた項目は、3級で問われるもので、

ㄹの鼻音化・パッチムの子音化・合成語の濃音化

です。


前回は、

 

ㄹの鼻音化・パッチムの子音化・漢字音ㄹ後の子音濃音化

 

で、3級・発音問題での構成です。


2)のパッチムの子音化(‘絶音化’ともいわれますね)は、ここ最近連続で出題されています。

この語が出題されたのは第45回以来で、接頭語 が関わるパッチムの子音化は、

例えば 첫인사(第36回)をはじめ頻出です。

ぜひ聞き取れるようにもしておきましょう。


ところでここでは、連音化とパッチムの子音化の違いについて押さえておきましょう。

これは、発音変化の違い自体ではなく、それぞれの変化が起こる‘条件’です。

 

このような発音変化が起こるのには、きちんとした理由があります。

その理由をいちいち知るのは、韓国語ぺラぺ~ラにおいて必ずしも必要ではありませんが、

なんか釈然としない中で、これは元からこういうものなので覚えなさいと言われるよりは、

ずっとマシだと思います。

 

年端のいかない子供ならまだしも、ですよね。 

‘その都度納得のいく学習’は、理屈で生きている大人にとって重要だと思います。



では第2問の語彙問題です。6問だけですが、全問正解できましたか。


まず1)のような語の知識が、これからは問われるんだと思っておきましょう。

 

今までの、話したり書いたりする練習では、④ 구멍 とはそうそう使わなかったと思います。

このあたりにも、4級と3級では世界が違うことを感じさせます。


そして3)で恒例の副詞問題は、各語が修飾する用言まで押さえましょう。

解釈と実用で混乱する場合は、そうした方がいいですね。

韓国語の副詞は日本語以上に、修飾する用言、そして持つ文脈が厳密に決まっているからです。

 

도대체[都大体]には、すぐ思い浮かぶ日訳「一体,一体全体」共に、

 

도대체 + 否定表現 → 「全然,全く」[全否定]〕

 

という文法も持っています。


そして4)で、もし①を選んだ方がおられたら、十分振り返っておきましょう。

というのも(   8   )の直後に、同じような意味を持つ 시간 があり、

するとこれとかぶってしまうからです。

例えれば「頭痛が痛い」「スタートを開始した」みたいなものですね。

 

ここは、Aの発話中にある 오늘 との言い換えを求めています。

당일치기 をはじめ、これから使うことになるかもしれない語なので、
覚えておきましょう。

 

難易度は前回より易化したでしょうか。

しっかりした語彙力を訊いてきてはいるものの、前回よりは取っつきやすいです。


続く第3問・接続表現問題で、恒例の助詞問題1)では、

②と③を迷いなく消せる知識量と共に、
正答の基本形が 말다 であることを知っていたいです。

例の 지 마세요지 말고 などに含まれている 말다 ですね。

 

「やめる」です。ということは、[前の内容を打ち消す]という動作を表しています。

박 과장 を[打ち消す]と、「この仕事ができる人がいない」ということです。


このようにできるのを‘分析力’といいますが、
これから中級,上級へとステップアップするには、

このようなかたまりと該当日訳をまんま暗記するのではなく、

自分でそのかたまりをひも解き、だからこのような意味(訳)になるのかと、

納得して身に付けていけるようにしましょう。

 

そして2)の引用形で、正式な活用〔[動詞] + 느냐〕を切っちゃったんですね。

 

確かに、日常では正式な活用がほぼ使われず、正答のように 냐 だけを付けるのが恒例です。

当校では以前ツイッター上で、近大の須賀井義教教授と、

これについての捉え方についてやり取りをしたことがあります


韓国人の先生が編んだテキストでは、냐 だけを付ける活用が多く採用されていますが、

正式な活用で学ばれた方は、もしかすると混乱されたでしょうか。


ちなみに、問題文のように話したり書いたりする場合は、
사귀다 の対象までをきちんと言いましょう。

よほど、互いが了解済みでない限り、韓国人に「誰と?」と思われてしまうことが多発します。


そして3)も大丈夫ですね。迷うとすれば①でしょうか。

 

①だと、前文の「カゼを引く」を認めたうえで아/어도<反対関係[譲歩]>なので、

後文には「カゼを引く」と、[反対]の内容が入る必要があります。

しかしその後文は「鼻水が何回も出てくる」で、

同じような内容(「カゼを引く」ことで考え得る症状)なので、①は×です。


一応リーズニングをしておきましたが、正解されましたね。

 

そして4)は、なかなか骨のある問題ですね。

 

③は (으)면 を使った引っかけで、×である理由は、完了の補助語幹 았/었 が2つあり、

現在と切れた過去(以前そうしていた,以前そうだった)ことを示すからです。

 

問題文は、(   13   )の前部が現在時制なので、
(以前そうしていた,以前そうだった)ではありません。

 

正答 았/었다가 は、다가因果関係を結び、実際に因果関係が成り立ちますよね。


「予習と復習をしていない(았/었)」→ 因果 →「(教授の講義に)付いていけない」

 

ちなみに、았/었が付いていて、「~(し)ていない」と訳せる理由が分からない方は、

当校に質問をお寄せください。


余談で、当校のような語学教室でおこなわれるグループ・大人数での学習で、

「授業に付いていける/付いていけない」という概念は、
本来存在してはいけないものです。

 

韓国語教育の世界も、各先生方の努力と研磨により、

そのような旧態依然とした「授業」「レッスン」からかけ離れた『学習活動』が展開されています。


今回の出題は、前回よりやや難化しました。

学習が不足していると、迷わせる出題があります。

 

ここでのまとめで、先に出てきた文脈とは‘文の流れ’で、文の流れといっても、

それはきちんと決まっています。

 

例えば、


≪里子は鹿児島に(     )、今年の大河ドラマを全然見ていない≫

 

とあって、

 

( 住んでいるが )( 住んでいるけど )

  

と入れることができても、


( 住んでいるから )( 住んでいるし )( 住んでいるように )

 

とはできないと分かります。

しかも4種類しかありません。さらに絞れば3種類です。

ここでは4種類しか無い文脈を「4つの論理関係」といっています。

「論理」とは、普通に考えて分かる、事の筋道で、俗にいう‘文脈’を司っています。

  

イコール関係〔前文後文〕)<言い換え,抽象⇔具体,修飾 など>)


反対関係〔前文後文〕<逆接,譲歩,話題転換,比較,強調 など>

 

累加関係〔前文後文〕<並列,羅列 など>

 

因果関係〔前文後文〕<順接,原因/結果,理由/結論,目的/実現動作 など>


実際のところ、私達日本語ネイティブにとっての韓国語学習では、


〔意味(訳)と文法・文脈を混同する〕

 

ことが多く、そのことが丸暗記を助長させています。


これは講師個人として、いつも声を大にして訴えていることで、

韓国語以外の学習(欧米諸語,中国語など)なら、
そのようなことはほぼやらないのを鑑みると、

これは、本来長所として使うべき日韓両語の酷似っぷりから、
 

『韓国語は日本語と同じように解釈できるものなんだ』

という、思い込みを生んでいます。


そんな中でも、該当する日訳で分かれば、もちろんそれでバッチリです。

韓国語を話して聞いて、書いて読めれば、基本的には万事OKで、

私達日本語ネイティブにとって、それは‘特典’でもありますしね。

 

ちなみに当校では、韓国語文法を捉える素材として、국어사전 と共に、

 

『韓国語文法辞典』(三修社)

 

を使っています。

 

各接続表現・助詞について、文法解釈で重要な、
前後の文脈(論理関係),時制,主語人称を主に扱い、

さらに、例えば 고,서,만,에,지 をはじめ、各接続表現を司る要素の[コア]を提示し、

意味(訳)を‘二の次的’に示してくれている、つまり、

 

『解釈の融通を利かせて、無秩序な暗記を助長しない』

 

超良書です。おすすめです!

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